LOVE SUGITO RADIOは、杉戸キリスト教会の「のまちゃん牧師」によるラジオです。杉戸町に関すること、聖書に関することなどを話しています。杉戸町と宮代町を愛するラジオです。55回目の配信。パラサイト・半地下の家族について。前半はネタバレなし。後半はネタバレあり。パラサイトの公式サイトはhttp://www.parasite-mv.jp。杉戸キリスト教会のホームページはhttp://gospel.sakura.ne.jp/sugito/
タグ: 家族
牧師家族の冬休み
牧師家族の夏休み2019
I was born 吉野弘
I was born 吉野弘
確か 英語を習い始めて間もない頃だ。
或る夏の宵。父と一緒に寺の境内を歩いてゆくと 青い夕靄の奥から浮き出るように 白い女がこちらへやってくる。物憂げに ゆっくりと。
女は身重らしかった。父に気兼ねをしながらも僕は女の腹から眼を離さなかった。頭を下にした胎児の 柔軟なうごめきを 腹のあたりに連想し それがやがて 世に生まれ出ることの不思議に打たれていた。
女はゆき過ぎた。
少年の思いは飛躍しやすい。 その時 僕は<生まれる>ということが まさしく<受身>である訳を ふと諒解した。僕は興奮して父に話しかけた。
—-やっぱり I was born なんだね—-
父は怪訝そうに僕の顔をのぞきこんだ。僕は繰り返した。
—- I was born さ。受身形だよ。正しく言うと人間は生まれさせられるんだ。自分の意志ではないんだね—-
その時 どんな驚きで 父は息子の言葉を聞いたか。僕の表情が単に無邪気として父の顔にうつり得たか。それを察するには 僕はまだ余りに幼なかった。僕にとってこの事は文法上の単純な発見に過ぎなかったのだから。父は無言で暫く歩いた後 思いがけない話をした。
—-蜉蝣という虫はね。生まれてから二、三日で死ぬんだそうだが それなら一体 何の為に世の中へ出てくるのかと そんな事がひどく気になった頃があってね—-
僕は父を見た。父は続けた。
—-友人にその話をしたら 或日 これが蜉蝣の雌だといって拡大鏡で見せてくれた。説明によると 口は全く退化して食物を摂るに適しない。胃の腑を開いても 入っているのは空気ばかり。見ると その通りなんだ。ところが 卵だけは腹の中にぎっしり充満していて ほっそりした胸の方にまで及んでいる。それはまるで 目まぐるしく繰り返される生き死にの悲しみが 咽喉もとまで こみあげているように見えるのだ。つめたい光りの粒々だったね。私が友人の方を振り向いて<卵>というと 彼も肯いて答えた。<せつなげだね>。そんなことがあってから間もなくのことだったんだよ。お母さんがお前を生み落としてすぐに死なれたのは—-。父の話のそれからあとは もう覚えていない。ただひとつ痛みのように切なく 僕の脳裡に灼きついたものがあった。
—-ほっそりした母の 胸の方まで 息苦しくふさいでいた白い僕の肉体—-
万引き家族と神の家族
井上貴詞先生(東京基督教大学国際キリスト教福祉学科准教授)の講演「神の家族の新たな『かたち』を求めて」を月曜日に聴いた後、気になっていた映画「万引き家族」をどうしても観なければという思いになり、火曜日に観て来ました。
「万引き家族」は、結婚関係にない大人たちと血のつながりのない子どもたちが、生きていくために互いを必要とし、一緒に集まり、本当の家族のように毎日共に生きるという映画です。一緒に住んでいる家族に捨てられたおばあちゃんの年金をあてにしながら、日雇い労働者の大人と親に捨てられた子どもが協力して万引きをし、何とか食いつないでいます。それでも、血のつながりのある家族から虐待され、寒い中ベランダでお腹を空かして凍えている女の子を見た時、見て見ぬ振りができず、思わず一緒に連れて帰り、アイロンで焼かれた火傷の痛みを共有する優しい家族です。
全体を通して、「血のつながりのある家族が、果たして本当の家族になっているのか?」「血のつながりのある家族の元に帰れば、本当に幸せに暮らせるのか?」という真剣な問いかけがなされていました。この映画が世界に認められたということは、世界中で血のつながりのある家族が崩壊しているということでしょう。DV、虐待、遺棄、ネグレクトなどによって。そして、何とかその日を生き抜くために、血のつながりはないけど共に生活しながら、本当の家族を切に求めている人々が多くいることでしょう。講演で聴いた真剣な問いかけ、「世界中の人々が必死になって、本物の家族や人間の尊厳を切に求めているのに、教会は神の家族に本当になっているのか?その必要に応えているのか?」が、改めて重く響きます。
子どもに対する優しい一声が、すべてを変え始める
万引き家族に転機となった出来事がある。駄菓子屋のおじさんが、万引きをして立ち去ろうとする子どもに声をかけ、商品をプレゼントしながら、「妹にはさせるなよ。」とお兄ちゃん役の子どもに優しい声をかける場面だ。それまで見て見ぬ振りをしていた店のおじさんの、子どもに対する優しい一声が、すべてを変え始める。
その後、父親役が駐車してある車のガラスを割って、中のものを盗もうとした時、その子は幼く尋ねる。「これは店に並べてあるものじゃないから、誰かのものだよね。」そして一緒に犯罪を続けることから距離を置こうとする。「店に並べてあるものはまだ誰のものでもない。だから万引きすることは悪いことではない。」と父親役に教えられ、万引き常習犯として生きていた少年の方向転換が始まった。
その後、妹を外で待たせ、自分だけ店に入って万引きをしようとした時、妹が店に入ってきてまた万引きをしようとする。恐らくその時、「妹にはさせるなよ。」というあの優しい言葉が少年の心に響いたのだ。そして「こんなことしてちゃダメだ!」と心の中で叫んだのだろう。だからその時、妹をかばうように、わざと商品を落として店員の注意を引きながら、商品を持って逃げるという行動に出た。わざと捕まることで、少年は終止符を打ちたかったのだ。子どもに対する優しい一声が、すべてを変え始める。
Shogo Hamada & The J.S. Inspirations『What’s Going on 』(Music Video)
牧師家族夏休みグランドツーリング
牧師家族夏休みグランドツーリング
日時:2017年8月21日(月)から8月26日(土)
目的:夫婦それぞれの実家帰省、教会員お見舞い、杉戸キリスト教会出身の前原牧師夫妻訪問
走行距離:約2,395km
https://drive.google.com/open?id=1EHaTHynbm6vSclTTdnVpwkROcsE&usp=sharing
車種:スバルレガシィB4(セダン) 2.5iアイサイト(2010年5月発売モデル)
7年型落ちの中古車レガシィB4、第五世代レガシィのゆったりとした5人乗りセダンで、おじいちゃんおばあちゃんも一緒にドライブできました。
長距離運転でも疲れが少なく、アイサイトのおかげで高速移動も快適でした。
唯一の欠点はやや大きめのサイズかもしれませんが、ミニバンと比べたらそんなに大きいわけではありません。
パワーも十二分あります。山道の登りなどではS#モードにすればぐんぐん登ります。
サスペンションはふわふわではなくちょっと硬めですが、乗り心地は快適です。
室内の静寂性も十二分です。
気になる燃費は、効率の良いCVTのおかげで高速道路では約16km、一般道では約12kmぐらいです。
杉戸キリスト教会 から 長野県長野市 248km 妻の実家で1泊 おじいちゃんおばあちゃんと
長野県長野市 から 徳島ユースホステル 589km 中央道、名神、淡路島経由 徳島で1泊
徳島ユースホステル から 高知県高知市 171km 高知で2泊 おじいちゃんおばあちゃん、そしてばあちゃんと
高知県高知市 から 天狗高原 93km
天狗高原 から 高知県高知市 116km
高知県高知市 から 松井病院 82km 教会員お見舞い
松井病院 から 広福音キリスト教会 232km しまなみ海道で前原牧師夫妻を訪問 呉のホテルで1泊
広福音キリスト教会 から 杉戸キリスト教会 864km
ビーナスラインの盛夏
光の指で触れよ 池澤夏樹
理工系でスピリチャルな内容の小説を書く池澤夏樹さんの長編小説。スピリチャルといっても、聖書的な信仰とか聖書的にスピリチャルな内容ではありません。レイキとかチャクラとか出てきます。けれども、現代人が消費生活に踊らされ、経済を神のように大切にしていること、効率を求めた果てにある毒性の強い農薬に対して耐性のある遺伝子組み換え農業、型にはめて個性を殺す教育などに対して、問題提起があります。
以下裏表紙から。
あの幸福な一家に何が起きたのか。『すばらしい新世界』の物語から数年後、恋人をつくった夫を置いて、幼い娘を連れた妻はヨーロッパへ渡り、共同生活を送りながら人生を模索する。かつて父をヒマラヤまで迎えに行った息子は、寮生活をしながら両親を想う。離れて暮らす家族がたどりつく場所は―。現代に生きる困難と、その果てにきざす光を描く長編小説。
解説・角田光代