音楽を奏でることの意味や音楽が果たす役割について

浜田省吾のツアー「ON THE ROAD 2011 “The Last Weekend”」は、史上希に見るツアーだった。それは、2011年に起きた人類史に残る悲劇的な出来事に起因していたことは言うまでもない。こんな時に音楽なんかやっていて良いのか、という空気も経験したことのないものだったし、そうだったからこそ、音楽を奏でることの意味や音楽が果たす役割、コンサート、あるいはツアーという形が、観客やスタッフも含めたチームワークの産物であることも再確認させられた。  田家秀樹著「僕と彼女と週末に」あとがきより

人間が音楽を奏でることの意味や音楽が果たす役割。それは次の言葉に要約されているかもしれない。

いつか子ども達に この時代を伝えたい
どんなふうに人が 希望(ゆめ)をつないできたか
One day I want to tell the children about this era,
How hope was passed on through mankind.
by Shogo Hamada

「ON THE ROAD 2011 “The Last Weekend”」ツアーDVDの最後に、”Dedicated to J.”と書かれていることも興味深い。




バトンタッチ その3

Just like Mt. Doom

今週月曜に、久しぶりに休暇を取ることが出来、妻と一緒に那須岳登山をした。この風景、まるで指輪物語(The Lord of the Rings)の中に出てくる滅びの山(Mt. Doom)みたいでしょ。(実際この山は今も活火山です。硫黄臭い煙を立ち上らせている山肌なのです。もし噴火すれば文字通り滅びの山になるでしょう。)

すべてを支配することができる権力の象徴である「力の指輪」を滅ぼすために、フロドとサムがこのような山を登ったことを思い浮かべながら写真を撮りました。

バトンタッチにおいて、打ち勝たなければならないものの一つ。それは、力あるポジションが持つ魔力ではないでしょうか。まるで重力場のように、強力な吸引力を持つポジション。だからこそ、バトンタッチの時期が来ていることを覚えても、なおその座を譲ることができないほどその人を捕らえてしまうのです。

しかし、祈りの力によるなら、そのような力の誘惑にも、見事に打ち勝つことができるでしょう。なぜなら祈りにおいて、私たちは自分の意義と安全を、ポジションにおいて見いだすのではなく、神御自身の中に見いだすことができるからです。

バトンタッチ その2

かつて日本の宣教は、宣教師主導でなされていった。宣教師が主導権を持って開拓伝道がなされた。しかしそのようにして生み出された教会において、日本人牧師へのバトンタッチは難しさを極めた。教会を自分たちで支え、教会の働きを自分たちで担っていくということを教えられなかった多くの信徒たちは、宣教師が手を引いた後、「宣教師と共に去りぬ」という悲しいことになった。後に残ったわずかな信徒の上には、会堂返済のための多額の借金だけが残されるという悲惨なケースも起こった。

将来のバトンタッチを視野に入れるならば、宣教師主導で開拓伝道をすることは止めるべきである。そのような反省がなされ、やがて開拓初期から、日本人牧師と共に開拓伝道を行うという方針が取られるようになった。この場合は、かなりスムーズにバトンタッチが行われ、豊かな実を結んでいる。

教会形成は個人プレーでは不可能である。開拓伝道をするなら、初めからバトンタッチまで視野に入れて長期計画を立てなければ、せっかくの労苦も打ち上げ花火のように、実が残らない働きとなってしまう。

バトンタッチ

北京オリンピックにおいて、日本男子リレーチームがメダルを獲得できた理由の一つに、バトンタッチの成功がある。

リレーにおいて、バトンタッチはとても難しいプロセスである。いや、リレーだけではない。あらゆる人間関係において、特に世代交代において、バトンタッチというのはとても難しい。そして、信仰の世界においても、バトンタッチが成功するかどうかで、その後の展開が大きく変わってしまう。だからバトンタッチのためには、何よりも神に祈り求める必要がある。

私の場合、主任牧師というバトンを受け取り、受け渡し、そして再び受け取って今の歩みを続けている。しかしやがて時が来るなら、主任牧師というバトンは次の走者に受け渡していかなければならない。その最善のタイミングを見失わないために、今から祈り備えていく必要を覚える。

バトンを渡す方は、走りつつ徐々にスピードを落としながら、渡す相手にアプローチする。

バトンを受け取る方は、徐々にスピードを上げて走り始めながら、バトンを待ち構える。

それぞれのアプローチがバトンタッチのタイミングにマッチするなら、バトンは落とされることなく、次の走者にしっかりと渡され、働きが世代を超えて豊かに進められていく。

それぞれのバトンタッチが成功し、働きが豊かに受け継がれるようにと神に祈る。