神・人・世界・歴史——創世記1‐4章から
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[[近代思想の聖書的観点からの覚書(水草修治)]]
*神・人・世界・歴史——創世記1‐4章から—— [#he997e69]
水草修治(日本同盟基督教団小海キリスト教会牧師)
(WEB用に編集中)
*はしがき [#n0d3005b]
本稿は、2006年6月に、改革長老教会の神戸神学館で行...
大学浪人だった晩夏の一日、生きる目的をさがしあぐねてい...
今回の講義は、増永俊雄先生へのご恩返しという思いで奉仕...
2007年11月 筆者
#contents
目次
序 本講の意図
1.神——自存性・三位一体・創造主
(1)自存者・創造主
a.自存者・創造主
b.他の神観との比較・・・汎神論、多神論、理神論、有神論
(2)神の人格性
a.神の行為を表現することば
b.擬人論的神? むしろ、擬神的人間。
c.人格神
(3)聖三位一体・・・「われわれ」である唯一の神
啓示の漸進性
a.1と3
①「われわれ」
②エハドとヤヒード
③新約聖書の啓示 Mt28:19
b.愛の構造と三位一体・・・アウグスティヌスとサン・ヴ...
2.多様にして統一的な被造世界
(1)自然主義(汎神論)と聖書の自然観と人間
a.自然の有限性(Gen1:1とRev20:11)
b.人間の特異性(Gen1:26-28とRev20:12)
(2)多様にして統一的な世界
a.見事なシステムとしての世界
b.多様性「おのおのその種類にしたがって」
(3)時と歴史について⇒「5」を参照
(4)聖書解釈と人生の解釈の三要素
3.人———玉座から落ちた王
(1)神との関係——善悪の知識の木
a.神のかたち
b.労働と環境保全
c.善悪の知識の木
ア.神の権威の代表——その名の意味
神が禁じたというそれだけの理由で
(2)神に対する反逆
a.へび——サタンと聖書解釈原理
b.「神を見ること」と「御顔を避けること」
c.サタンの奴隷、被造物の奴隷
d.聖書的な神観・人間観と異教のそれの本質的相違
e.善悪の知識の木から食べる・・・自律理性
「善悪を知るようになる」=「神のようになる」
(3)自己の内面における反逆——アウグスティヌス『神の国』...
a.裸の恥の意識
b.自律主義の自己矛盾
(4)人間関係における反逆と強制秩序
「神のかたちに創造し、男と女とに彼らを創造された。」
a.夫婦関係への呪い
愛と服従の秩序⇒⇒強制と隷従の秩序
b.被造世界における秩序の混乱と一般恩恵としての強制...
上に立つ権威による強制秩序
被造物の反逆と強制秩序
(5)地の反逆——「文化命令」と堕落後の問題
a.地に仕える・・・・・Gn1-2
ア.人——偉大にして卑小な存在
イ.人の任務「地を耕し、守る」
b.地の反逆と文明による地の収奪・・・Gn3−4
ア.人と土地は敵対関係に陥るGn3:18
イ.カイン族の都市文明・・・土地と人の相互疎外Gn1...
ウ.希望:全被造物贖いのビジョンRom8:19
4.原福音と三つの神学体系
(1)「へびの頭を踏み砕く女の子孫」(Gn3:15)
(2)「いちじくの葉」と「皮の衣」
a.神が手ずから(Gn3:21)
b.血が流されて(Heb.9:22)
(3)原罪—神学体系のアルキメデス点
5.聖書的歴史観の概要
始まりと終わりがある歴史
a.ギリシャ的(異教的)歴史観、退歩史観、進歩史観
b.聖書の歴史観(創世記1:1と黙示録22:12,13)
(2)繰り返しつつ前進し完成に至る
創世記1:14
レビ記24-25章
神の国と地の国
a.創世記3:15;4:16-26
b.地の国の権力者とサタン(ルカ4:5-8、黙示録13:2)
(4)終わりの時・時の中心
*序 本講の意図 [#pee3e79e]
信州の標高1,000メートルほどの山間地の町や村で開拓伝道を...
都会では、ほとんどの人は自分と自分の家族のことしか考え...
そういうわけで、田舎に伝道を始めて、世界観的な神学が、...
そういうわけで、聖書に基づいて世界を見る目を養うという...
私はあれこれ最新の学説研究をするといった学問的手続きを...
では、世界観の基本構造を聖書、特に創世記の最初の四章から...
「だから天の御国の弟子となった学者はみな、自分の倉から新...
*1.神———自存性・三位一体・創造主 [#z6f3d254]
**(1)自存者・創造者 [#cbb23569]
***a.自存者・創造主・摂理の主 [#gfb12073]
>「初めに、神が天と地を創造した。」創世記1:1
この一節が教えていることは、神以外の一切のものつまり被...
創世記1:1と対応する個所が、黙示録20:11である。神が意...
>「また私は、大きな白い御座と、そこに着座しておられる方を...
しかし、創造主である神は他の何者にも依存しないで自ら「あ...
>「今は、父よ、みそばで、わたしを栄光で輝かせてください。...
神は絶対者であり、唯一である。「わたしは『わたしはある...
***b.他の神観との区別 [#kf603a1e]
ここで他の宗教や思想における神観との区別を簡単にしておき...
①汎神論 pantheism
汎神論は「すべては神である」という立場である。したがって...
②多神論 polytheism
神話における神々である。神々は有限であり、多数いて相...
③理神論 deism
時計と時計工の関係に譬えられる。彼らは、被造物という...
ただしdeismという用語自体は、今日では理神論という意味で定...
④有神論 theism
聖書的な神観を意味する。創造主は万物を「無からex nihi...
**(2)神の人格性について [#k0429eaa]
創世記1章の創造の記事に出てくる、神の行為を表現すること...
「創造するarb」(1)「仰せられるrma」(3)「見られるhar...
これらの行為から、神がどのようなお方であるということが...
ここで問題になるのは、アンスロポモロフィズムであろう。...
しかし、後に見るように、聖書は逆のことを語っている。人...
また、そうであるからこそ、神はご自分の行為を擬人的な表...
ところで、「創造し、語り、見、区別し、名づけ、造る」存...
神が人格的存在であることについて。A.E.MacGrath「キリスト...
人格とはなにか?テルトリアヌスによれば、人格とは語り、...
そしてマクグラスは「人格というのは、社会という劇におい...
人格神ではない、「哲学者の神」たとえばアリストテレスの神...
**(3)聖三位一体 [#c1da407c]
しかも、この唯一の神のうちには、父と子と聖霊という三位...
***a.1と3 [#zf9a12e9]
聖書の啓示は、旧約時代から漸進的にprogressiveにベールを外...
①「われわれ」
神のうちには複数の人格があるので、神は唯一のお方であられ...
>「そして神は、『われわれに似るように、われわれのかたちに...
>「私は、『だれが、われわれのために行くだろう。』と言って...
②エハドとヤヒード
参考>Theological Wordbook of OT, Moody press, Herbert W...
旧約聖書がかかれたヘブライ語には「1」を意味することば...
「ヤヒード」は、単純に「一つ」「ただ一つ」という意味。...
他方、「エハド」は、「一つのうちにおける多様性」を暗示...
では、「聞け。イスラエル。」と始まる申命記6:3のみこと...
また主に遣わされた御使いが神とされているところがある。...
また、神の御霊が人格であることが明白に啓示されたところ...
このように啓示されているが、旧約時代において強調されて...
③新約聖書
新約聖書にいたって、神のうちに三つの位格があることが明白...
主イエスがバプテスマについてお命じになったことばの中に...
「父と子と聖霊の御名」(マタイ28:19)というとき、...
ほかに2コリント13:13,1コリント12:4−6、1ペ...
聖書はこのように神が唯一であること、御父、御子、御霊が...
しかし、ギリシャ語において定冠詞の有無は英語のそれとは...
実際には、ヨハネ一章一節の「ことばは神であった」は定冠...
御子が神であるという証言は、ほかに「しかし、神の御子が...
では聖霊についてはどうか。しばしば、聖霊は油や風や火に...
「そこで、ペテロがこう言った。「アナニヤ。どうしてあなた...
欺くというのは、モノを相手にはありえないことであり、人...
***b.愛の構造と三位一体 [#a554c662]
アウグスティヌスは、『三位一体論』において神の三位一体を...
>「父よ。お願いします。あなたがわたしに下さったものをわた...
中世期にサン・ビクトールのリチャード(リカルドゥス)は...
「最高善、全く完全な善である神においては、すべての善性...
さらに聖霊の発出について次のように言う。
「もしだれかが自分の主要な喜びに他の者もあずかることを...
故に、前の考察で明かにしたあの相互に愛し合う者[すなわ...
リチャードがあたかも論理必然的に、まことの神は三位一体...
推薦図書>P.ネメシェギ『父と子と聖霊』南窓社
*2.多様にして統一的な被造世界と人間 [#s4c2d673]
**(1)自然主義(汎神論)と聖書の自然観・人間観 [#m513bd4e]
***a.自然の被造性・有限性 [#efdca5fd]
創世記第一章におけるたいせつなメッセージの一つは、自然...
創世記一章の記述は私たちを多神教の迷信から解放する力を...
「行く川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず。よど...
詩人だけでなく科学者たちもビッグバン理論が定説化する前...
汎神論者にとって、神と人と自然は一つである。あるいは神...
しかし、聖書はそうは言っていない。永遠者は神のみである...
***b.人間の姿 [#c708d2ac]
創世記 1:27-28
神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のか...
これと対応するのが、 黙示録20:11,12
「また私は、死んだ人々が、大きい者も小さい者も御座の前に...
地と天が御前から逃げ去って、跡形もなくなった、その時、...
「神のかたち」として造られたがゆえに、人は、天地が滅びう...
**(2)多様にして統一的な世界 [#zc58beec]
「おのおのその種類にしたがって」
***a.システムとしての世界 [#n27c5649]
また、三位一体の神は、この天地は多様にして統一的な秩序...
物質界・植物界・動物界は一つのシステムを成していて、どれ...
また、養分のことを考えても、鳥をはじめとする動物たちが...
植物の光合成のためには太陽エネルギーが必要である。太陽...
太陽の運行、地球の自転、大気の循環、植物と動物の相互扶...
推薦図書>槌田敦『エコロジー神話の功罪』ほたる出版
***b.多様性 [#s56d9bbf]
多様性については、たとえば、生物についていえば植物も動物...
聖書の自然観は、「種の起源」を一つの原始的単細胞生物と...
キリスト者のうちには、特にインテリを自任するキリスト者の...
御霊と主と父なる三位一体の神の作品が、豊かな多様性をも...
神学において、こうした議論をすることをアナロギア(類比...
パスカルも『キリスト教弁証論』の草稿集『パンセ』(ラフ...
さらに発展させて考えてみれば、「多様性と統一性の両立し...
芭蕉の芸術理念に「不易流行」ということばがある。不易と...
存在は多様性のみで、部分同士が相互の関連を失えば、ばらば...
この世界の多様性と統一性の見事な調和は、創造主の見事な...
**(3)時と歴史について [#x9325944]
たいへん重要な項目であるが、これは堕落後の問題を含むの...
同時に、時は、暦、季節、日、年のために設定された天体に...
レビ記24‐25章には循環的な時がある。時は、循環しつつ前進す...
**(4)被造世界の認識における統一性と多様性 [#k0a700f8]
オランダの法哲学者ヘルマン・ドーイウェルトは、『理論理性...
15 信仰的側面
14 道徳的側面
13 法的側面
12 美的側面
11 経済的側面
10 社会的側面
9 言語的側面
8 歴史的側面
7 分析論理的側面
6 感覚的側面
5 生物的側面
4 物理化学的側面
3 延長的運動的側面
2 空間的側面
1 数的側面
たとえば「ここに1冊の聖書がある」という事態について考...
このように1冊の聖書を取ってみても、そこには多様な側面—...
道徳的側面と信仰的側面の質的違いについて深い考察をした...
ともかく、神は多様にして統一的な豊かな世界を用意された...
推薦図書>H.ドーイウェールト『西洋思想のたそがれ』法律文...
J.M.スピアー『カルヴァン主義哲学』1967
**(5)聖書解釈と人生の解釈——多様性・統一性・歴史性をわ...
神の造られた作品の理解において、多様性と統一性と歴史性...
聖書啓示の構造自体が、多様性と統一性と歴史性によって成...
こうした聖書の統一性・多様性・歴史性をわきまえて聖書を解...
正統主義神学の傾向として、聖書の統一性のみを強調したと...
逆に、各書を独立的に扱って、パウロ神学、ヨハネ神学、マ...
聖書の統一性・多様性・歴史性をわきまえて聖書を解釈すると...
あなたの人生も神の作品であることをわきまえるならば、あ...
*4.人——玉座から落ちた王(創世記1−4) [#ed0d89f8]
**(1)神との関係——善悪の知識の木 [#p0a0ff53]
***a.神のかたち [#o84f6963]
被造物世界のなかで、人間は特徴ある立場を持つ。それは、...
ところで「神のかたち」についていろいろな議論がある。古代...
ベルカウアー(Man, the Image of God)、K.バルト(我と汝...
「真の知識」とは真の神を畏れる知性、「聖」とは真の神の...
***b.労働と環境保全 [#ya64877d]
神は何のために人間をご自身のかたちに造られたのか。それ...
しかし、人間の被造物支配は決して暴君的なものであってよ...
「神である主は人を取り、エデンの園に置き、そこを耕させ、...
すなわち、「耕し、かつ、守る」ことをもって被造物を支配...
ちなみに歴史を振り返ると環境破壊は、キリスト教文明にか...
「 だれも、ふたりの主人に仕えることはできません。一方を憎...
したがって環境保全を実効あるものとするためには、人間の貪...
それはさておき、神は「耕しかつ守れ」とおっしゃって、労...
***c.善悪の知識の木 [#rad69c8d]
善悪の知識の木がりんごであると思っている人が結構いる。ア...
アップル・コンピュータでかじられたリンゴAdam’s appleがデ...
ア.サクラメントまた神の権威の代表(象徴)としての善悪の知...
——「善悪の知識の木」という名の意味
この木について、「善悪の知識の木」と呼ばれているのは、た...
*旧約聖書の広い文脈において「善悪の知識」とは
善悪をわきまえないことは、幼子の未熟さを意味し(申命記...
積極的には、聖書において善悪をわきまえる力は神が王に賜...
釈義的原則からしてみると、まず、最も近い同じ文脈におけ...
ここでは、創世記3章5節と22節に見るように、「善悪を知るよ...
被造物にすぎない人間が、主権者である神の戒めに背いて、...
新聖書辞典(いのちのことば社)はたいへん簡潔に要所を示す。
「霊的にこれを理解すれば、いのちの木とは信仰の木であり、...
イ.神が禁じたまうたというそれだけの理由で
アウグスティヌスは「罪はたんに食物にかんしてなされたの...
契約神学の立場から、ここに創造の契約を読み取る立場から...
聖餐においてパンと葡萄酒それらの物質自体に効力があるの...
だからこそ、この木にどう対するかが、純粋に神に対する従...
「けれども、掟においてとくに求められていたのは従順であ...
榊原康夫は次のように言う。
「人はわけもわからずに、中央の木だけを食べるなと、禁じら...
「わけがわかったから、納得できるから、従う」というのは...
また、あの善悪の知識の木は、人に対して神の権威を代表す...
**(2)神に対する反逆 [#o60a5818]
蛇—サタンと聖書解釈原理(神戸集中のためにキリ神特別講義...
「さて、神が造られたあらゆる野の獣のうちで、蛇が一番狡猾...
神に対する人間の反逆という問題について入る前に、どうし...
世界観を論じるとき、神・人・自然という三者の関係として論...
創世記3章1節以下の女への誘惑において明らかになる点のひ...
女は、「この木に触れてもいけないと神は言われた」と言っ...
荒野の試みにおいて、空腹のきわみにあった主イエスにサタ...
第一スイス信条第二項を見ておきたい。
「2 聖書の解釈について
この聖にして神的なる聖書は、まさにそれ自身からのみ、信...
『ウェストミンスター信仰告白』は聖書解釈について、神と神...
J.H.リースは言う、「改革派の解釈学は、解釈原理として愛の法...
「問6 では、神についての真の正しい知識はなんですか。
答 神をあがめる目的で神を知ることであります。」(ジュネ...
b.「神を見ること」と「御顔を避けること」
「そよ風の吹くころ、彼らは園を歩き回られる神である主の声...
あたかも夕暮れどきの散歩のように、「園を歩き回る神」と...
善悪の知識の木から取って食べる前には、あたかも人のよう...
「主の御顔を見る」「神を見る」ことは人間にとっての究極...
本来、「神の御顔」を見ることは、人にとってすばらしい祝...
終わりの日に神の御子が受肉され、十字架と復活によって、...
ちなみにアウグスティヌスは「神を見る」ことと関係させて聖...
善悪の知識の木から取って食べ、自分が「神のようになった...
参照>マックス・ピカート『神からの逃走』
c.サタンの奴隷,被造物の奴隷
善悪の知識の木から食べた人間は、このように自律者として...
実際には善悪の知識の木から取って食べた人は、サタンの罠...
家の家による家のための人生
カネのカネによるカネのための人生
会社の会社による会社のための人生
国家の国家による国家のための人生
思想的には、××主義ということになる。
ちなみに、ヘルマン・ドーイウェールトはさまざまな「主義...
d.聖書的な神観・人間観と 異教のそれとの本質的相違
サタンはアダムを誘惑するとき、「あなたがたは善悪を知る...
ここに異教思想との根本的な違いがある。異教にあっては、...
哲学の例でいえば、「一者」との合一を目指すプロティノスの...
「ウパニシャッドの確信をなすのは、いわゆる『梵我一如』——...
現代のニューエイジ・ムーブメントにおける救いの理解も、こ...
ところが、聖書は、人が人であることにとどまらないで、神...
では、「あなたがたの父が完全であるように、あなたがたも...
<付加的考察>
東方教会において救済を「神化(theosis)」と理解する神学的...
「アタナシオスにとって救済は、神の存在への人間の参与にあ...
「神的位格としてのキリストが降ること(katabasis)で人間は...
東方教会の伝統とはいえ、筆者(水草)としては、ここに異...
もっとも東方教会の神学では、神に反逆して自力で神になろう...
参考図書>高橋保行『ギリシャ正教』(講談社学術文庫)
日本ハリストス正教会教団『正教要理』
e.「善悪の知識の木」の現代思潮認識への適用
ア.自律的理性の問題
神が善とすることが善であり、神が悪とすることが悪である...
蛇は、3:11「あなたがたがそれを食べるそのとき、あな...
では、人はほんとうに自分の理性で善悪を決定できるのであ...
罪の本質は神の権威への反逆である。それは思い上がり。傲...
自律的理性の問題については、後に少し詳しく扱いたいと思...
デカルト的理性と近代主義についてここから発想する。デカル...
確実で人類に共通している理性(良識)を土台として、神の存在...
イ.理性と啓示の関係
理性は神学において必要であるが、理性が神知識の唯一の源...
合理主義者のキリスト教への批判は、理神論によってまずなさ...
18世紀終わり頃からの「史的イエスの探求」という運動は、こ...
カントは『単なる理性の限界内における宗教』において、イエ...
*思想史上、「理性と信仰」の対立構造という言い方がされて...
ウ.プロタゴラスとポストモダン——相対主義
しかし、こうした理性に対する信頼は、現実問題と衝突する...
数年前,17歳の殺人事件が相次いだ。そのとき、「なぜ人を...
古代ギリシャにプロタゴラス(前500頃−430頃)というもっとも...
このことばについて、プラトン「テアイテトス」においてソク...
「それでは彼の言おうとしているのは、何でもこういうような...
神が万物の尺度でなくなるとき、人が万物の尺度となる。と...
・ポストモダンと聖書解釈
ポストモダニズムという今日的思潮はまさにそれ。モダン(...
同じような信頼の揺らぎ啓蒙主義に対してもおこる。普遍的...
ポストモダニズムとは「一般に、絶対や確固とした確かさや...
たとえば、ポストモダンの影響下にある聖書解釈者は、「あら...
ほんとうは、聖書各書において啓示されている神のすがたの...
(3)自己の内面における反逆——いちじくの葉とリビドー
a.裸の恥の意識
「このようにして、ふたりの目は開かれ、それで彼らは自分...
「目が開かれ、自分たちが裸であることを知った」というの...
いちじくの葉について、よく考察しているのはアウグスティ...
「この神が軽んじられたがゆえに、正義にかなった罰がその...
アウグスティヌスのことばの背景には、ローマ書1:28「...
以前は神の加護のもとにあった人が、神に反逆した結果、自...
「人間は、彼自身においてあらゆる仕方で自己自身の力で統御...
悪魔の奴隷となった人間は、内的な不従順・混乱を経験する。...
「一言でいうなら、罪にたいするあの罰において、不従順に...
・・・・・
自己が自己自身にしたがわないかぎり、すなわち、精神およ...
善悪の知識の木からとって食べてしまったとき、最初の男女...
いちじくの葉について、これは人が仮面をかぶるようになっ...
彼らは神に背く前には、おたがい裸を恥ずかしいと思わなか...
堕落前は、生殖器が意志の統御の下に服していたので、恥じ...
アダムとエバの堕落の結果、秩序において下位にあるべきも...
ローマ書1章21−32節には、神に背いた人間の罪のリストが...
アウグスティヌスは『神の国』第十四巻十六章において「性的...
省略(2)情欲(libidoリビドー)について
近代の心理学者たちは、リビドーにおいて人間を把握しよ...
『岩波心理学小事典』によると
「リビドー:(性的エネルギー)性欲、性的衝動。本来は欲望...
b.自律主義の自己矛盾
———自律を誇りつつ他律に陥る人間
ア.自律・他律・神律
人は、神からの自律を目指して神のようになろうとして善悪...
自律主義とは宗教的表現を取れば、自己偶像崇拝の破綻であ...
また、アダムは本件について問い詰められたとき、「あなた...
善悪の知識の木の実を取って食べたということは、人間は自...
イ.夏目漱石——良心主義の自己矛盾
夏目漱石が生涯課題として苦しんだのはこの良心主義の自己...
漱石はその苦悶のなかで、この自我の苦悶から逃れる方法と...
良心主義の自己矛盾とは、神学的表現をすれば自力救済の現...
(4)人間関係における反逆と強制秩序
「あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたし...
「しかも、あなたは夫を恋い慕うが、彼はあなたを支配する...
a.夫婦関係への呪い
ア.かしらなる夫とふさわしい助け手
エバが先に誘惑されて木の実を食べ、これを夫にも与えたに...
神は本来、夫婦において夫を契約のかしらとして選んでおら...
新約聖書が、キリストにあって回復した夫婦の秩序について...
夫婦が神の御前で人として同等の尊厳を持つことは事実であ...
イ.結婚関係に及んだ呪い
ところが、堕落後、呪いを受けた夫婦の秩序に混乱が入り込...
「女が夫を恋い慕う」という「恋い慕う」(8669 teshuqa:n.f.lo...
ところが、このように妻が夫の権威をあなどり、夫を己のコ...
「トピック
夫婦の悪循環とよい循環」
悪循環
夫
↑ ↓
反逆 暴君・無責任
↑ ↓
妻
アダムの罪に対する神の追求のことばにも着目。
「あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが...
もともと、このテストは善悪の知識の木という神の権威を代...
推薦書>ラリイ・クリステンソン『幸福な家庭』
b.被造世界における秩序の混乱と強制的秩序
ア.上に立つ権威の強制秩序 ローマ書13章
人は善悪の知識の木のテストにおいて、神の権威を犯した。...
人間社会は、剣の権能による権威と隷従という強制秩序によ...
よって、この権威を重んじるべきである。
左翼思想との違いを認識しておくべきである。
イ.被造物の反逆と強制秩序
本来、神は人に土地を耕し守るように、これを治めるように...
創世記3:17−18「土地はあなたのゆえにのろわれてしま...
翻訳としては、l「あなたのために」ではなく、新共同訳「おま...
以上、見てきたように、善悪の知識の木から食べるなという神...
内的には、欲情が肉を刺激して、肉は意志の統御を無視して動...
夫婦関係においては、妻は夫に統御されることを嫌い、夫を...
広く社会においても、権威に対して人は反抗的な精神を持つ...
被造物は、本来、その統治者である人に反抗的になった。
この混乱に対して、神は強制的な秩序をもって、これをとも...
(5)人と被造物との関係
a.地に仕える
ア.人。偉大にして卑小なる存在
「その後、神である主は、土地のちりで人を形造り、その鼻...
我々はこのみことばから、人の尊厳と人の卑小とをあわせて...
しかし、人間の神に似せられたゆえの尊厳と土から造られ...
「人間にその偉大さを示さないで、彼がいかに禽獣にひとしい...
イ.人の任務「地を耕し、守る」
神が人間に与えた任務はなにか。創世記一章は「地を支配せ...
人が地を「支配し、従える」ことの内容とは、園を「耕し、...
それを裏書きするように、創世記二章五節は言う。「地には...
なお、新共同訳は、人が耕さないから木も草も生えないとい...
他方、「守る」ということばは、農業という産業には、単に...
たとえば家畜の糞尿や生ゴミは堆肥化されれば、やがて作物...
このように、「耕し、守る」農業には食糧生産のみならず環...
b.地の反逆と文明による地の収奪
ア.人と土地は敵対関係に・・・創世記第三章
人類は始祖アダムにあって、神の戒めに背き、その結果、神...
土地はどうなったか。「土地は、あなたのゆえに呪われてし...
イ.都市文明・・土地に疎外され土地を疎外する・・・・創世...
アダムの子カインは、土地に弟アベルの血を流した。神は言...
土地に呪われたカインは、主の御顔の前から去って、エデン...
創世記第四章末尾には、カイン一族の華々しい「この世の都...
ちなみに「エノシュ」という名は、「アーナシュ」つまり「...
以上、創世記第四章の記述において注目すべきことは、神を...
むろん、文明のもろもろの利器はカイン族のうちにとどまら...
特に、「神と土と人」という主題から都市文明という問題を...
ウ.全被造物贖いのビジョン
主の再臨が延ばされて、もし二十一世紀があるとすれば、人...
...
「今の時のいろいろの苦しみは、将来私たちに啓示されよう...
...
「しかし、私たちは、神の約束に従って、正義の住む新しい天...
今、我々が置かれているのは、キリストにある贖いが「すで...
6.原福音と三つの神学体系
原福音と呼ばれるのは、周知のごとく創世記3:15。そし...
(1)「女の子孫」創世記3:15
蛇に対して語られるのろいの言葉において、「女のすえ」が蛇(サ...
同時に、女の子孫が「彼」と単数で受けられていることに、私...
神の民とメシヤが女の子孫と呼ばれるのはどういうわけか。女...
旧新約聖書における神の救いの歴史において、女の出産が画...
(2)いちじくの葉と皮の衣・・・創世記3:21
もう一つは、21節「神である主は、アダムとその妻のために、皮...
a.神が手ずから
このことばは、いわゆるアンスロポモロフィズム(神人同形論)...
たしかにそこには人間としてはアダムとエバしかいなかったの...
しかし、このようなゴリゴリした解釈では、「神が彼らのため...
すでに創世記2章、3章の表現を読めば、全体として神がいと...
創世記全体の文脈を考えて見よう。そして聖書全体を。ここ...
人ではなく、主なる神が皮衣を作り、彼らに着せてくださっ...
b.血が流されて
「血を注ぎ出すことがなければ、罪の赦しはないのです。」へブ...
カルヴァンは、それが麻やウールではなく荒荒しい皮衣であ...
しかし、ここには、文脈的に見て、あきらかに人間がはだか...
ここにキリストの贖いの予型をただちに読むのは、exgesus読み...
人間が自分の恥をおおうために自分でなすわざを象徴するのが...
罪深い裸の恥をおおう衣は、Ex28:40-42「裸をおおう亜麻布のも...
このように見てくると、神が人のために動物を犠牲にして血を...
C.ホッジは、「人間はみなアダム以来、自力救済主義者となっ...
(3)原罪——神学体系のアルキメデス点
創世記第四章に至ると、最初の夫婦の罪はその子孫にまで及ん...
ダビデはバテシェバ事件において恐ろしい罪を犯した後、悔...
原罪である。これがいかに転嫁されていくのかについての神...
原罪の教理について、18世紀の啓蒙主義者たち、ヴォルテー...
原罪についての見かたは、神学体系におけるアルキメデス点...
<ペラギウス主義—ソッツィーニ主義の自力救済主義>、
<パウロ—アウグスティヌス主義—ルター・カルヴァンの恩寵救済...
そして、その中間に位置する<半ペラギウス主義—アルミニウス...
ペラギウスは生まれながらの人間は堕落前のアダムと同じ状...
この三つのタイプの救済主義はキリスト論にも影響する。ペ...
ドイツの啓蒙主義神学者ライマールスは「史的イエスの探求」...
<付録>
「自由意思」
堕落前、人は自由意思をもって罪を犯さないことができるposse...
堕落後、人は罪を犯さないことができないnon posse non pecca...
完成のときには、罪を犯すことができないnon posse peccare自...
5.聖書的歴史観の概要
(1)直線としての時と円環としての時
a.時には始まりと終わりがある
創世記1:1と黙示録22:12,13
宇田進博士は『現代福音主義神学』において、ベルジャーエ...
ルネサンス以後を近代と見て、これを進歩史観の時代と見る...
ルネサンス以降を進歩の歴史と見たのは、むしろ19世紀ヨーロ...
神が聖書において真理を啓示されたという信仰に立つわれわ...
環境問題がクローズアップされ、地球の危機が現実性を帯び...
時には初めと終わりがあるという認識、「今」という時は二...
聖書は、時に始まりと終わりがあることを教えている。時は...
b.時と空間は密接不可分であり、時は繰り返しつつ前進し完...
時には初めがあり終わりがあるというのが、聖書的な歴史観...
よく考えてみると、天体の空間的運行は具体的な生きている...
こうして見てくると、地球上における時間というものと、...
レビ24−25章には、地球の自転と公転という空間運動によっ...
初めと終わりがあるかぎり、<今日という日は一回限りであ...
(2)救いの歴史の中心
a.神の国と地の国
「わたしは、おまえと女との間、また、おまえの子孫と女の子...
創世記3:15に、聖書的観点からの歴史の見方の一つの原...
この原理に立って歴史哲学を展開した史上最初の人は、アウグ...
女のすえ———アベル——セツ族————————「神の子ら」(Gn6:1...
へびのすえ——カイン——カイン族——レメク——「人の娘」
創世記6章冒頭の「神の子」と「人の娘」とは誰か。神の子を...
創世記の6章にいたる歴史を簡略に述べてみよう。
サタンは思い上がって神に背いてしまう。サタンは、アダム...
新約聖書は、神とサタンの間の宇宙的な格闘のなかで、カイ...
女のすえとは、神に属する人々を意味しており(ローマ16:...
*O.P.Robertson、The Christ of the Covenantsを参照せよ...
明白に、女とへび(竜、サタン)との格闘として終末的な戦...
*プラトン主義との比較
世界観について多様性と統一性というだけでは、実は、プラ...
聖書に特徴的なことは、統一的で多様な世界の認識に、神の...
アウグスティヌスが神の国と地の国の抗争の展開として歴史...
私たちが聖書的世界観を言うときに、役者としては、神、天...
b.地の国の権力者
ルカ4:5−8、黙示録13:2
旧新約の時代と貫く教会の歴史において、常に「教会と国家」...
もう一つ歴史理解のために聖書から抑えておくべきことは、...
サタンは、サタンにたましいを売る者(第一の獣)に権力を与...
そもそも世界の王たちは、そのほとんどが祭司王として成立...
「教会と国家」という問題。それは単にこの世の制度的な問...
c.「救いの歴史の中心」と「終わりの時」
へびの頭を踏み砕くメシアの到来を待望する、女の子孫と蛇の...
イザヤ61:1にあっては、ヨベルの年と到来は、メシヤの到...
神の御子の受肉について、「時満ちて」という表現がガラテヤ書...
へブル9:26「しかし、キリストはただ一度、今の世の終わ...
そして、イエス・キリストの到来の後は、すでに来られた女の子...
このような文脈で、コンツェルマンは『時の中心』というルカ...
旧約時代・・・・・キリストの初臨・・・・・・・キリストの再臨
←・・・・・終わりの時・・・・・・→
終了行:
[[近代思想の聖書的観点からの覚書(水草修治)]]
*神・人・世界・歴史——創世記1‐4章から—— [#he997e69]
水草修治(日本同盟基督教団小海キリスト教会牧師)
(WEB用に編集中)
*はしがき [#n0d3005b]
本稿は、2006年6月に、改革長老教会の神戸神学館で行...
大学浪人だった晩夏の一日、生きる目的をさがしあぐねてい...
今回の講義は、増永俊雄先生へのご恩返しという思いで奉仕...
2007年11月 筆者
#contents
目次
序 本講の意図
1.神——自存性・三位一体・創造主
(1)自存者・創造主
a.自存者・創造主
b.他の神観との比較・・・汎神論、多神論、理神論、有神論
(2)神の人格性
a.神の行為を表現することば
b.擬人論的神? むしろ、擬神的人間。
c.人格神
(3)聖三位一体・・・「われわれ」である唯一の神
啓示の漸進性
a.1と3
①「われわれ」
②エハドとヤヒード
③新約聖書の啓示 Mt28:19
b.愛の構造と三位一体・・・アウグスティヌスとサン・ヴ...
2.多様にして統一的な被造世界
(1)自然主義(汎神論)と聖書の自然観と人間
a.自然の有限性(Gen1:1とRev20:11)
b.人間の特異性(Gen1:26-28とRev20:12)
(2)多様にして統一的な世界
a.見事なシステムとしての世界
b.多様性「おのおのその種類にしたがって」
(3)時と歴史について⇒「5」を参照
(4)聖書解釈と人生の解釈の三要素
3.人———玉座から落ちた王
(1)神との関係——善悪の知識の木
a.神のかたち
b.労働と環境保全
c.善悪の知識の木
ア.神の権威の代表——その名の意味
神が禁じたというそれだけの理由で
(2)神に対する反逆
a.へび——サタンと聖書解釈原理
b.「神を見ること」と「御顔を避けること」
c.サタンの奴隷、被造物の奴隷
d.聖書的な神観・人間観と異教のそれの本質的相違
e.善悪の知識の木から食べる・・・自律理性
「善悪を知るようになる」=「神のようになる」
(3)自己の内面における反逆——アウグスティヌス『神の国』...
a.裸の恥の意識
b.自律主義の自己矛盾
(4)人間関係における反逆と強制秩序
「神のかたちに創造し、男と女とに彼らを創造された。」
a.夫婦関係への呪い
愛と服従の秩序⇒⇒強制と隷従の秩序
b.被造世界における秩序の混乱と一般恩恵としての強制...
上に立つ権威による強制秩序
被造物の反逆と強制秩序
(5)地の反逆——「文化命令」と堕落後の問題
a.地に仕える・・・・・Gn1-2
ア.人——偉大にして卑小な存在
イ.人の任務「地を耕し、守る」
b.地の反逆と文明による地の収奪・・・Gn3−4
ア.人と土地は敵対関係に陥るGn3:18
イ.カイン族の都市文明・・・土地と人の相互疎外Gn1...
ウ.希望:全被造物贖いのビジョンRom8:19
4.原福音と三つの神学体系
(1)「へびの頭を踏み砕く女の子孫」(Gn3:15)
(2)「いちじくの葉」と「皮の衣」
a.神が手ずから(Gn3:21)
b.血が流されて(Heb.9:22)
(3)原罪—神学体系のアルキメデス点
5.聖書的歴史観の概要
始まりと終わりがある歴史
a.ギリシャ的(異教的)歴史観、退歩史観、進歩史観
b.聖書の歴史観(創世記1:1と黙示録22:12,13)
(2)繰り返しつつ前進し完成に至る
創世記1:14
レビ記24-25章
神の国と地の国
a.創世記3:15;4:16-26
b.地の国の権力者とサタン(ルカ4:5-8、黙示録13:2)
(4)終わりの時・時の中心
*序 本講の意図 [#pee3e79e]
信州の標高1,000メートルほどの山間地の町や村で開拓伝道を...
都会では、ほとんどの人は自分と自分の家族のことしか考え...
そういうわけで、田舎に伝道を始めて、世界観的な神学が、...
そういうわけで、聖書に基づいて世界を見る目を養うという...
私はあれこれ最新の学説研究をするといった学問的手続きを...
では、世界観の基本構造を聖書、特に創世記の最初の四章から...
「だから天の御国の弟子となった学者はみな、自分の倉から新...
*1.神———自存性・三位一体・創造主 [#z6f3d254]
**(1)自存者・創造者 [#cbb23569]
***a.自存者・創造主・摂理の主 [#gfb12073]
>「初めに、神が天と地を創造した。」創世記1:1
この一節が教えていることは、神以外の一切のものつまり被...
創世記1:1と対応する個所が、黙示録20:11である。神が意...
>「また私は、大きな白い御座と、そこに着座しておられる方を...
しかし、創造主である神は他の何者にも依存しないで自ら「あ...
>「今は、父よ、みそばで、わたしを栄光で輝かせてください。...
神は絶対者であり、唯一である。「わたしは『わたしはある...
***b.他の神観との区別 [#kf603a1e]
ここで他の宗教や思想における神観との区別を簡単にしておき...
①汎神論 pantheism
汎神論は「すべては神である」という立場である。したがって...
②多神論 polytheism
神話における神々である。神々は有限であり、多数いて相...
③理神論 deism
時計と時計工の関係に譬えられる。彼らは、被造物という...
ただしdeismという用語自体は、今日では理神論という意味で定...
④有神論 theism
聖書的な神観を意味する。創造主は万物を「無からex nihi...
**(2)神の人格性について [#k0429eaa]
創世記1章の創造の記事に出てくる、神の行為を表現すること...
「創造するarb」(1)「仰せられるrma」(3)「見られるhar...
これらの行為から、神がどのようなお方であるということが...
ここで問題になるのは、アンスロポモロフィズムであろう。...
しかし、後に見るように、聖書は逆のことを語っている。人...
また、そうであるからこそ、神はご自分の行為を擬人的な表...
ところで、「創造し、語り、見、区別し、名づけ、造る」存...
神が人格的存在であることについて。A.E.MacGrath「キリスト...
人格とはなにか?テルトリアヌスによれば、人格とは語り、...
そしてマクグラスは「人格というのは、社会という劇におい...
人格神ではない、「哲学者の神」たとえばアリストテレスの神...
**(3)聖三位一体 [#c1da407c]
しかも、この唯一の神のうちには、父と子と聖霊という三位...
***a.1と3 [#zf9a12e9]
聖書の啓示は、旧約時代から漸進的にprogressiveにベールを外...
①「われわれ」
神のうちには複数の人格があるので、神は唯一のお方であられ...
>「そして神は、『われわれに似るように、われわれのかたちに...
>「私は、『だれが、われわれのために行くだろう。』と言って...
②エハドとヤヒード
参考>Theological Wordbook of OT, Moody press, Herbert W...
旧約聖書がかかれたヘブライ語には「1」を意味することば...
「ヤヒード」は、単純に「一つ」「ただ一つ」という意味。...
他方、「エハド」は、「一つのうちにおける多様性」を暗示...
では、「聞け。イスラエル。」と始まる申命記6:3のみこと...
また主に遣わされた御使いが神とされているところがある。...
また、神の御霊が人格であることが明白に啓示されたところ...
このように啓示されているが、旧約時代において強調されて...
③新約聖書
新約聖書にいたって、神のうちに三つの位格があることが明白...
主イエスがバプテスマについてお命じになったことばの中に...
「父と子と聖霊の御名」(マタイ28:19)というとき、...
ほかに2コリント13:13,1コリント12:4−6、1ペ...
聖書はこのように神が唯一であること、御父、御子、御霊が...
しかし、ギリシャ語において定冠詞の有無は英語のそれとは...
実際には、ヨハネ一章一節の「ことばは神であった」は定冠...
御子が神であるという証言は、ほかに「しかし、神の御子が...
では聖霊についてはどうか。しばしば、聖霊は油や風や火に...
「そこで、ペテロがこう言った。「アナニヤ。どうしてあなた...
欺くというのは、モノを相手にはありえないことであり、人...
***b.愛の構造と三位一体 [#a554c662]
アウグスティヌスは、『三位一体論』において神の三位一体を...
>「父よ。お願いします。あなたがわたしに下さったものをわた...
中世期にサン・ビクトールのリチャード(リカルドゥス)は...
「最高善、全く完全な善である神においては、すべての善性...
さらに聖霊の発出について次のように言う。
「もしだれかが自分の主要な喜びに他の者もあずかることを...
故に、前の考察で明かにしたあの相互に愛し合う者[すなわ...
リチャードがあたかも論理必然的に、まことの神は三位一体...
推薦図書>P.ネメシェギ『父と子と聖霊』南窓社
*2.多様にして統一的な被造世界と人間 [#s4c2d673]
**(1)自然主義(汎神論)と聖書の自然観・人間観 [#m513bd4e]
***a.自然の被造性・有限性 [#efdca5fd]
創世記第一章におけるたいせつなメッセージの一つは、自然...
創世記一章の記述は私たちを多神教の迷信から解放する力を...
「行く川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず。よど...
詩人だけでなく科学者たちもビッグバン理論が定説化する前...
汎神論者にとって、神と人と自然は一つである。あるいは神...
しかし、聖書はそうは言っていない。永遠者は神のみである...
***b.人間の姿 [#c708d2ac]
創世記 1:27-28
神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のか...
これと対応するのが、 黙示録20:11,12
「また私は、死んだ人々が、大きい者も小さい者も御座の前に...
地と天が御前から逃げ去って、跡形もなくなった、その時、...
「神のかたち」として造られたがゆえに、人は、天地が滅びう...
**(2)多様にして統一的な世界 [#zc58beec]
「おのおのその種類にしたがって」
***a.システムとしての世界 [#n27c5649]
また、三位一体の神は、この天地は多様にして統一的な秩序...
物質界・植物界・動物界は一つのシステムを成していて、どれ...
また、養分のことを考えても、鳥をはじめとする動物たちが...
植物の光合成のためには太陽エネルギーが必要である。太陽...
太陽の運行、地球の自転、大気の循環、植物と動物の相互扶...
推薦図書>槌田敦『エコロジー神話の功罪』ほたる出版
***b.多様性 [#s56d9bbf]
多様性については、たとえば、生物についていえば植物も動物...
聖書の自然観は、「種の起源」を一つの原始的単細胞生物と...
キリスト者のうちには、特にインテリを自任するキリスト者の...
御霊と主と父なる三位一体の神の作品が、豊かな多様性をも...
神学において、こうした議論をすることをアナロギア(類比...
パスカルも『キリスト教弁証論』の草稿集『パンセ』(ラフ...
さらに発展させて考えてみれば、「多様性と統一性の両立し...
芭蕉の芸術理念に「不易流行」ということばがある。不易と...
存在は多様性のみで、部分同士が相互の関連を失えば、ばらば...
この世界の多様性と統一性の見事な調和は、創造主の見事な...
**(3)時と歴史について [#x9325944]
たいへん重要な項目であるが、これは堕落後の問題を含むの...
同時に、時は、暦、季節、日、年のために設定された天体に...
レビ記24‐25章には循環的な時がある。時は、循環しつつ前進す...
**(4)被造世界の認識における統一性と多様性 [#k0a700f8]
オランダの法哲学者ヘルマン・ドーイウェルトは、『理論理性...
15 信仰的側面
14 道徳的側面
13 法的側面
12 美的側面
11 経済的側面
10 社会的側面
9 言語的側面
8 歴史的側面
7 分析論理的側面
6 感覚的側面
5 生物的側面
4 物理化学的側面
3 延長的運動的側面
2 空間的側面
1 数的側面
たとえば「ここに1冊の聖書がある」という事態について考...
このように1冊の聖書を取ってみても、そこには多様な側面—...
道徳的側面と信仰的側面の質的違いについて深い考察をした...
ともかく、神は多様にして統一的な豊かな世界を用意された...
推薦図書>H.ドーイウェールト『西洋思想のたそがれ』法律文...
J.M.スピアー『カルヴァン主義哲学』1967
**(5)聖書解釈と人生の解釈——多様性・統一性・歴史性をわ...
神の造られた作品の理解において、多様性と統一性と歴史性...
聖書啓示の構造自体が、多様性と統一性と歴史性によって成...
こうした聖書の統一性・多様性・歴史性をわきまえて聖書を解...
正統主義神学の傾向として、聖書の統一性のみを強調したと...
逆に、各書を独立的に扱って、パウロ神学、ヨハネ神学、マ...
聖書の統一性・多様性・歴史性をわきまえて聖書を解釈すると...
あなたの人生も神の作品であることをわきまえるならば、あ...
*4.人——玉座から落ちた王(創世記1−4) [#ed0d89f8]
**(1)神との関係——善悪の知識の木 [#p0a0ff53]
***a.神のかたち [#o84f6963]
被造物世界のなかで、人間は特徴ある立場を持つ。それは、...
ところで「神のかたち」についていろいろな議論がある。古代...
ベルカウアー(Man, the Image of God)、K.バルト(我と汝...
「真の知識」とは真の神を畏れる知性、「聖」とは真の神の...
***b.労働と環境保全 [#ya64877d]
神は何のために人間をご自身のかたちに造られたのか。それ...
しかし、人間の被造物支配は決して暴君的なものであってよ...
「神である主は人を取り、エデンの園に置き、そこを耕させ、...
すなわち、「耕し、かつ、守る」ことをもって被造物を支配...
ちなみに歴史を振り返ると環境破壊は、キリスト教文明にか...
「 だれも、ふたりの主人に仕えることはできません。一方を憎...
したがって環境保全を実効あるものとするためには、人間の貪...
それはさておき、神は「耕しかつ守れ」とおっしゃって、労...
***c.善悪の知識の木 [#rad69c8d]
善悪の知識の木がりんごであると思っている人が結構いる。ア...
アップル・コンピュータでかじられたリンゴAdam’s appleがデ...
ア.サクラメントまた神の権威の代表(象徴)としての善悪の知...
——「善悪の知識の木」という名の意味
この木について、「善悪の知識の木」と呼ばれているのは、た...
*旧約聖書の広い文脈において「善悪の知識」とは
善悪をわきまえないことは、幼子の未熟さを意味し(申命記...
積極的には、聖書において善悪をわきまえる力は神が王に賜...
釈義的原則からしてみると、まず、最も近い同じ文脈におけ...
ここでは、創世記3章5節と22節に見るように、「善悪を知るよ...
被造物にすぎない人間が、主権者である神の戒めに背いて、...
新聖書辞典(いのちのことば社)はたいへん簡潔に要所を示す。
「霊的にこれを理解すれば、いのちの木とは信仰の木であり、...
イ.神が禁じたまうたというそれだけの理由で
アウグスティヌスは「罪はたんに食物にかんしてなされたの...
契約神学の立場から、ここに創造の契約を読み取る立場から...
聖餐においてパンと葡萄酒それらの物質自体に効力があるの...
だからこそ、この木にどう対するかが、純粋に神に対する従...
「けれども、掟においてとくに求められていたのは従順であ...
榊原康夫は次のように言う。
「人はわけもわからずに、中央の木だけを食べるなと、禁じら...
「わけがわかったから、納得できるから、従う」というのは...
また、あの善悪の知識の木は、人に対して神の権威を代表す...
**(2)神に対する反逆 [#o60a5818]
蛇—サタンと聖書解釈原理(神戸集中のためにキリ神特別講義...
「さて、神が造られたあらゆる野の獣のうちで、蛇が一番狡猾...
神に対する人間の反逆という問題について入る前に、どうし...
世界観を論じるとき、神・人・自然という三者の関係として論...
創世記3章1節以下の女への誘惑において明らかになる点のひ...
女は、「この木に触れてもいけないと神は言われた」と言っ...
荒野の試みにおいて、空腹のきわみにあった主イエスにサタ...
第一スイス信条第二項を見ておきたい。
「2 聖書の解釈について
この聖にして神的なる聖書は、まさにそれ自身からのみ、信...
『ウェストミンスター信仰告白』は聖書解釈について、神と神...
J.H.リースは言う、「改革派の解釈学は、解釈原理として愛の法...
「問6 では、神についての真の正しい知識はなんですか。
答 神をあがめる目的で神を知ることであります。」(ジュネ...
b.「神を見ること」と「御顔を避けること」
「そよ風の吹くころ、彼らは園を歩き回られる神である主の声...
あたかも夕暮れどきの散歩のように、「園を歩き回る神」と...
善悪の知識の木から取って食べる前には、あたかも人のよう...
「主の御顔を見る」「神を見る」ことは人間にとっての究極...
本来、「神の御顔」を見ることは、人にとってすばらしい祝...
終わりの日に神の御子が受肉され、十字架と復活によって、...
ちなみにアウグスティヌスは「神を見る」ことと関係させて聖...
善悪の知識の木から取って食べ、自分が「神のようになった...
参照>マックス・ピカート『神からの逃走』
c.サタンの奴隷,被造物の奴隷
善悪の知識の木から食べた人間は、このように自律者として...
実際には善悪の知識の木から取って食べた人は、サタンの罠...
家の家による家のための人生
カネのカネによるカネのための人生
会社の会社による会社のための人生
国家の国家による国家のための人生
思想的には、××主義ということになる。
ちなみに、ヘルマン・ドーイウェールトはさまざまな「主義...
d.聖書的な神観・人間観と 異教のそれとの本質的相違
サタンはアダムを誘惑するとき、「あなたがたは善悪を知る...
ここに異教思想との根本的な違いがある。異教にあっては、...
哲学の例でいえば、「一者」との合一を目指すプロティノスの...
「ウパニシャッドの確信をなすのは、いわゆる『梵我一如』——...
現代のニューエイジ・ムーブメントにおける救いの理解も、こ...
ところが、聖書は、人が人であることにとどまらないで、神...
では、「あなたがたの父が完全であるように、あなたがたも...
<付加的考察>
東方教会において救済を「神化(theosis)」と理解する神学的...
「アタナシオスにとって救済は、神の存在への人間の参与にあ...
「神的位格としてのキリストが降ること(katabasis)で人間は...
東方教会の伝統とはいえ、筆者(水草)としては、ここに異...
もっとも東方教会の神学では、神に反逆して自力で神になろう...
参考図書>高橋保行『ギリシャ正教』(講談社学術文庫)
日本ハリストス正教会教団『正教要理』
e.「善悪の知識の木」の現代思潮認識への適用
ア.自律的理性の問題
神が善とすることが善であり、神が悪とすることが悪である...
蛇は、3:11「あなたがたがそれを食べるそのとき、あな...
では、人はほんとうに自分の理性で善悪を決定できるのであ...
罪の本質は神の権威への反逆である。それは思い上がり。傲...
自律的理性の問題については、後に少し詳しく扱いたいと思...
デカルト的理性と近代主義についてここから発想する。デカル...
確実で人類に共通している理性(良識)を土台として、神の存在...
イ.理性と啓示の関係
理性は神学において必要であるが、理性が神知識の唯一の源...
合理主義者のキリスト教への批判は、理神論によってまずなさ...
18世紀終わり頃からの「史的イエスの探求」という運動は、こ...
カントは『単なる理性の限界内における宗教』において、イエ...
*思想史上、「理性と信仰」の対立構造という言い方がされて...
ウ.プロタゴラスとポストモダン——相対主義
しかし、こうした理性に対する信頼は、現実問題と衝突する...
数年前,17歳の殺人事件が相次いだ。そのとき、「なぜ人を...
古代ギリシャにプロタゴラス(前500頃−430頃)というもっとも...
このことばについて、プラトン「テアイテトス」においてソク...
「それでは彼の言おうとしているのは、何でもこういうような...
神が万物の尺度でなくなるとき、人が万物の尺度となる。と...
・ポストモダンと聖書解釈
ポストモダニズムという今日的思潮はまさにそれ。モダン(...
同じような信頼の揺らぎ啓蒙主義に対してもおこる。普遍的...
ポストモダニズムとは「一般に、絶対や確固とした確かさや...
たとえば、ポストモダンの影響下にある聖書解釈者は、「あら...
ほんとうは、聖書各書において啓示されている神のすがたの...
(3)自己の内面における反逆——いちじくの葉とリビドー
a.裸の恥の意識
「このようにして、ふたりの目は開かれ、それで彼らは自分...
「目が開かれ、自分たちが裸であることを知った」というの...
いちじくの葉について、よく考察しているのはアウグスティ...
「この神が軽んじられたがゆえに、正義にかなった罰がその...
アウグスティヌスのことばの背景には、ローマ書1:28「...
以前は神の加護のもとにあった人が、神に反逆した結果、自...
「人間は、彼自身においてあらゆる仕方で自己自身の力で統御...
悪魔の奴隷となった人間は、内的な不従順・混乱を経験する。...
「一言でいうなら、罪にたいするあの罰において、不従順に...
・・・・・
自己が自己自身にしたがわないかぎり、すなわち、精神およ...
善悪の知識の木からとって食べてしまったとき、最初の男女...
いちじくの葉について、これは人が仮面をかぶるようになっ...
彼らは神に背く前には、おたがい裸を恥ずかしいと思わなか...
堕落前は、生殖器が意志の統御の下に服していたので、恥じ...
アダムとエバの堕落の結果、秩序において下位にあるべきも...
ローマ書1章21−32節には、神に背いた人間の罪のリストが...
アウグスティヌスは『神の国』第十四巻十六章において「性的...
省略(2)情欲(libidoリビドー)について
近代の心理学者たちは、リビドーにおいて人間を把握しよ...
『岩波心理学小事典』によると
「リビドー:(性的エネルギー)性欲、性的衝動。本来は欲望...
b.自律主義の自己矛盾
———自律を誇りつつ他律に陥る人間
ア.自律・他律・神律
人は、神からの自律を目指して神のようになろうとして善悪...
自律主義とは宗教的表現を取れば、自己偶像崇拝の破綻であ...
また、アダムは本件について問い詰められたとき、「あなた...
善悪の知識の木の実を取って食べたということは、人間は自...
イ.夏目漱石——良心主義の自己矛盾
夏目漱石が生涯課題として苦しんだのはこの良心主義の自己...
漱石はその苦悶のなかで、この自我の苦悶から逃れる方法と...
良心主義の自己矛盾とは、神学的表現をすれば自力救済の現...
(4)人間関係における反逆と強制秩序
「あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたし...
「しかも、あなたは夫を恋い慕うが、彼はあなたを支配する...
a.夫婦関係への呪い
ア.かしらなる夫とふさわしい助け手
エバが先に誘惑されて木の実を食べ、これを夫にも与えたに...
神は本来、夫婦において夫を契約のかしらとして選んでおら...
新約聖書が、キリストにあって回復した夫婦の秩序について...
夫婦が神の御前で人として同等の尊厳を持つことは事実であ...
イ.結婚関係に及んだ呪い
ところが、堕落後、呪いを受けた夫婦の秩序に混乱が入り込...
「女が夫を恋い慕う」という「恋い慕う」(8669 teshuqa:n.f.lo...
ところが、このように妻が夫の権威をあなどり、夫を己のコ...
「トピック
夫婦の悪循環とよい循環」
悪循環
夫
↑ ↓
反逆 暴君・無責任
↑ ↓
妻
アダムの罪に対する神の追求のことばにも着目。
「あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが...
もともと、このテストは善悪の知識の木という神の権威を代...
推薦書>ラリイ・クリステンソン『幸福な家庭』
b.被造世界における秩序の混乱と強制的秩序
ア.上に立つ権威の強制秩序 ローマ書13章
人は善悪の知識の木のテストにおいて、神の権威を犯した。...
人間社会は、剣の権能による権威と隷従という強制秩序によ...
よって、この権威を重んじるべきである。
左翼思想との違いを認識しておくべきである。
イ.被造物の反逆と強制秩序
本来、神は人に土地を耕し守るように、これを治めるように...
創世記3:17−18「土地はあなたのゆえにのろわれてしま...
翻訳としては、l「あなたのために」ではなく、新共同訳「おま...
以上、見てきたように、善悪の知識の木から食べるなという神...
内的には、欲情が肉を刺激して、肉は意志の統御を無視して動...
夫婦関係においては、妻は夫に統御されることを嫌い、夫を...
広く社会においても、権威に対して人は反抗的な精神を持つ...
被造物は、本来、その統治者である人に反抗的になった。
この混乱に対して、神は強制的な秩序をもって、これをとも...
(5)人と被造物との関係
a.地に仕える
ア.人。偉大にして卑小なる存在
「その後、神である主は、土地のちりで人を形造り、その鼻...
我々はこのみことばから、人の尊厳と人の卑小とをあわせて...
しかし、人間の神に似せられたゆえの尊厳と土から造られ...
「人間にその偉大さを示さないで、彼がいかに禽獣にひとしい...
イ.人の任務「地を耕し、守る」
神が人間に与えた任務はなにか。創世記一章は「地を支配せ...
人が地を「支配し、従える」ことの内容とは、園を「耕し、...
それを裏書きするように、創世記二章五節は言う。「地には...
なお、新共同訳は、人が耕さないから木も草も生えないとい...
他方、「守る」ということばは、農業という産業には、単に...
たとえば家畜の糞尿や生ゴミは堆肥化されれば、やがて作物...
このように、「耕し、守る」農業には食糧生産のみならず環...
b.地の反逆と文明による地の収奪
ア.人と土地は敵対関係に・・・創世記第三章
人類は始祖アダムにあって、神の戒めに背き、その結果、神...
土地はどうなったか。「土地は、あなたのゆえに呪われてし...
イ.都市文明・・土地に疎外され土地を疎外する・・・・創世...
アダムの子カインは、土地に弟アベルの血を流した。神は言...
土地に呪われたカインは、主の御顔の前から去って、エデン...
創世記第四章末尾には、カイン一族の華々しい「この世の都...
ちなみに「エノシュ」という名は、「アーナシュ」つまり「...
以上、創世記第四章の記述において注目すべきことは、神を...
むろん、文明のもろもろの利器はカイン族のうちにとどまら...
特に、「神と土と人」という主題から都市文明という問題を...
ウ.全被造物贖いのビジョン
主の再臨が延ばされて、もし二十一世紀があるとすれば、人...
...
「今の時のいろいろの苦しみは、将来私たちに啓示されよう...
...
「しかし、私たちは、神の約束に従って、正義の住む新しい天...
今、我々が置かれているのは、キリストにある贖いが「すで...
6.原福音と三つの神学体系
原福音と呼ばれるのは、周知のごとく創世記3:15。そし...
(1)「女の子孫」創世記3:15
蛇に対して語られるのろいの言葉において、「女のすえ」が蛇(サ...
同時に、女の子孫が「彼」と単数で受けられていることに、私...
神の民とメシヤが女の子孫と呼ばれるのはどういうわけか。女...
旧新約聖書における神の救いの歴史において、女の出産が画...
(2)いちじくの葉と皮の衣・・・創世記3:21
もう一つは、21節「神である主は、アダムとその妻のために、皮...
a.神が手ずから
このことばは、いわゆるアンスロポモロフィズム(神人同形論)...
たしかにそこには人間としてはアダムとエバしかいなかったの...
しかし、このようなゴリゴリした解釈では、「神が彼らのため...
すでに創世記2章、3章の表現を読めば、全体として神がいと...
創世記全体の文脈を考えて見よう。そして聖書全体を。ここ...
人ではなく、主なる神が皮衣を作り、彼らに着せてくださっ...
b.血が流されて
「血を注ぎ出すことがなければ、罪の赦しはないのです。」へブ...
カルヴァンは、それが麻やウールではなく荒荒しい皮衣であ...
しかし、ここには、文脈的に見て、あきらかに人間がはだか...
ここにキリストの贖いの予型をただちに読むのは、exgesus読み...
人間が自分の恥をおおうために自分でなすわざを象徴するのが...
罪深い裸の恥をおおう衣は、Ex28:40-42「裸をおおう亜麻布のも...
このように見てくると、神が人のために動物を犠牲にして血を...
C.ホッジは、「人間はみなアダム以来、自力救済主義者となっ...
(3)原罪——神学体系のアルキメデス点
創世記第四章に至ると、最初の夫婦の罪はその子孫にまで及ん...
ダビデはバテシェバ事件において恐ろしい罪を犯した後、悔...
原罪である。これがいかに転嫁されていくのかについての神...
原罪の教理について、18世紀の啓蒙主義者たち、ヴォルテー...
原罪についての見かたは、神学体系におけるアルキメデス点...
<ペラギウス主義—ソッツィーニ主義の自力救済主義>、
<パウロ—アウグスティヌス主義—ルター・カルヴァンの恩寵救済...
そして、その中間に位置する<半ペラギウス主義—アルミニウス...
ペラギウスは生まれながらの人間は堕落前のアダムと同じ状...
この三つのタイプの救済主義はキリスト論にも影響する。ペ...
ドイツの啓蒙主義神学者ライマールスは「史的イエスの探求」...
<付録>
「自由意思」
堕落前、人は自由意思をもって罪を犯さないことができるposse...
堕落後、人は罪を犯さないことができないnon posse non pecca...
完成のときには、罪を犯すことができないnon posse peccare自...
5.聖書的歴史観の概要
(1)直線としての時と円環としての時
a.時には始まりと終わりがある
創世記1:1と黙示録22:12,13
宇田進博士は『現代福音主義神学』において、ベルジャーエ...
ルネサンス以後を近代と見て、これを進歩史観の時代と見る...
ルネサンス以降を進歩の歴史と見たのは、むしろ19世紀ヨーロ...
神が聖書において真理を啓示されたという信仰に立つわれわ...
環境問題がクローズアップされ、地球の危機が現実性を帯び...
時には初めと終わりがあるという認識、「今」という時は二...
聖書は、時に始まりと終わりがあることを教えている。時は...
b.時と空間は密接不可分であり、時は繰り返しつつ前進し完...
時には初めがあり終わりがあるというのが、聖書的な歴史観...
よく考えてみると、天体の空間的運行は具体的な生きている...
こうして見てくると、地球上における時間というものと、...
レビ24−25章には、地球の自転と公転という空間運動によっ...
初めと終わりがあるかぎり、<今日という日は一回限りであ...
(2)救いの歴史の中心
a.神の国と地の国
「わたしは、おまえと女との間、また、おまえの子孫と女の子...
創世記3:15に、聖書的観点からの歴史の見方の一つの原...
この原理に立って歴史哲学を展開した史上最初の人は、アウグ...
女のすえ———アベル——セツ族————————「神の子ら」(Gn6:1...
へびのすえ——カイン——カイン族——レメク——「人の娘」
創世記6章冒頭の「神の子」と「人の娘」とは誰か。神の子を...
創世記の6章にいたる歴史を簡略に述べてみよう。
サタンは思い上がって神に背いてしまう。サタンは、アダム...
新約聖書は、神とサタンの間の宇宙的な格闘のなかで、カイ...
女のすえとは、神に属する人々を意味しており(ローマ16:...
*O.P.Robertson、The Christ of the Covenantsを参照せよ...
明白に、女とへび(竜、サタン)との格闘として終末的な戦...
*プラトン主義との比較
世界観について多様性と統一性というだけでは、実は、プラ...
聖書に特徴的なことは、統一的で多様な世界の認識に、神の...
アウグスティヌスが神の国と地の国の抗争の展開として歴史...
私たちが聖書的世界観を言うときに、役者としては、神、天...
b.地の国の権力者
ルカ4:5−8、黙示録13:2
旧新約の時代と貫く教会の歴史において、常に「教会と国家」...
もう一つ歴史理解のために聖書から抑えておくべきことは、...
サタンは、サタンにたましいを売る者(第一の獣)に権力を与...
そもそも世界の王たちは、そのほとんどが祭司王として成立...
「教会と国家」という問題。それは単にこの世の制度的な問...
c.「救いの歴史の中心」と「終わりの時」
へびの頭を踏み砕くメシアの到来を待望する、女の子孫と蛇の...
イザヤ61:1にあっては、ヨベルの年と到来は、メシヤの到...
神の御子の受肉について、「時満ちて」という表現がガラテヤ書...
へブル9:26「しかし、キリストはただ一度、今の世の終わ...
そして、イエス・キリストの到来の後は、すでに来られた女の子...
このような文脈で、コンツェルマンは『時の中心』というルカ...
旧約時代・・・・・キリストの初臨・・・・・・・キリストの再臨
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