聖書66巻

憲法9条改変問題 QアンドA

水草修治・附録コメント菅原正道 改訂2005年1月14日

Q1. 他国が日本を侵略してきたとき国民を守る軍隊を持つことは当然ではないか?

A. 日本を侵略する国は具体的にはどの国か。中国?北朝鮮?資源のない日本を侵略する危険を冒して彼らにどういう国益があるか?・・・何もない。  また、軍隊がほんとうに個々の国民を守るために機能するかどうかは疑問である。軍隊は国家体制を維持するために機能するので、体制維持のために国民を犠牲にすることはままある。たとえば沖縄戦のときに、沖縄県民をより多く死に追いやったのは米軍よりも日本軍であった。

菅:歴史上、軍隊が国民の生命・財産を守ったことは一度もない。東京大空襲の時、広島・長崎の原爆投下の時、日本軍は国民を守ったか?何をしていたのか?アジア諸国を侵略していたのである。軍隊は他国を攻撃するためにこそあるのであって、自国を防衛するためにあるというのは虚妄である。

Q2. 北朝鮮はテポドンの実験をして実際に日本をおどしている。本当に北朝鮮からテポドンによる攻撃がある可能性はないのか?

A. 軍事評論家前田哲男氏によれば、その可能性はかぎりなく低い。 第一にテポドンに搭載できる爆薬は1トン未満であるのに対して、自衛隊が48機保有するF2攻撃機の搭載爆薬は8トンで、これでピョンヤンまで往復することができる。つまり日本にテポドンを発射した場合、報復のほうがはるかに大きい。 第二に北朝鮮のGNP、人口、軍事力、日本との間に海をはさんでいるという地理的なことを考えても、テポドン以外に脅威はほとんどない。それを『世界最大の軍事大国』アメリカと『世界第二の経済大国』日本が組まなければやられる、というのは、歪憲派のどぎついメーキャップである。 北朝鮮の指導者金正日氏は狡猾で合理的な政治家である。必敗の戦争はしない。北朝鮮が日本にテポドンを発射する唯一の合理的可能性は、米軍が北朝鮮を日本の基地から先制攻撃した場合である。ゆえに肝心なことは米軍に北朝鮮を先制攻撃させないことである。

菅:北朝鮮から発射されたミサイルが日本を飛び越えて太平洋に着弾したと政府が公式に発表し、マスコミもそう報じているのは世界中で日本だけである。米、中、露、韓国政府もマスコミもあれはロケット打ち上げ実験の失敗という公式見解を出している。それを認めずに国民世論操作が行われているのである。

Q3. 米軍基地があるから日本は他国の軍事的脅威から守られているのではないか?

A. 先の戦争で、山や野原や田畑が爆撃されただろうか? 爆撃は軍事基地・軍需工場に集中してなされる。軍事基地があるからこそ、危険である。

 菅:広島の原爆はほぼ正確に、中国(地方の意)軍司令部の真上に投下されている。長崎に原爆が落とされたのも軍のための造船所があったからである。軍事基地は他国の攻撃の標的にこそなれ、決してわたしたちを守らない(守れない)。

Q4. では米国の意図としては、なんのため日本に基地を配置しているのか?

A. 米軍基地は、日本を守るためではなく、米国が日本とアジアを支配下に置くために配置されているのである。米国は、アジアが連帯して、アジアでの主導権を失うことを恐れている。ネオコン(米国新保守派)は、アジアへの関与は主導権を握ることが目的であるとはっきりと言っている。米国は、アジアの平和問題解決の邪魔になっている。

Q5. では日本のアジアにおける平和は基本的にどのように構築すべきなのか?

A.アジアの近隣諸国と仲良くすることである。近隣諸国からの脅威がなくなれば、もはや米国に守ってもらう必要がなくなる。近い国同士で同盟を結ぶのが得策である。もちろん、その際、米国をも敵に回さないようにする外交的な知恵が必要である。

Q6. 他国の過激派によるテロを防ぐためにも軍隊が必要ではないのか?

A. テロが軍隊で防げるという宣伝が空想であることは、最大の軍事大国米国がテロを防げないことで実証済みである。テロは、その原因である貧困や国家間の憎しみを取り除く平和外交によってのみ、防ぐことができる。また具体的なテロ対策は警察によるのであって、軍隊でどうにもなるものではない。テロだけでなく、戦争も、平和外交によってのみ防ぐことができる。平和外交こそ最も現実的なテロや戦争の抑止力であり、そのためにこそ税金を使うべきである。

 菅:「戦争」というものが独立して起るのではない。戦争も政治の一部であり、結果でもある。戦争になった時点で政治としては失政であり、政治の機能不全である。戦争を選択肢に入れない政治が目指される べきである。

Q7. 改憲論議で話題になっている「集団的自衛権」とは、なにか?

A. 集団的自衛権とは、<自国と密接な関係にある他国に対して第三者による武力攻撃があった場合に、自国が直接に攻撃されなくても、第三者による武力攻撃を実力をもって阻止・排除する権利>である。具体的には、日本を攻撃されたのでない場合でも、米国が第三者の国と戦争をすれば日本自衛軍が世界中どこにでも出かけて行って戦争をするための権利である。これではもはや自衛軍とはいえない。

Q7-2 米国が日本有事の際に集団的自衛権を行使して戦おうというのだから、日本が米国有事の際、米国のために戦うというのは信義として当然ではなかろうか?

A 米国の場合、ブッシュ大統領がイラクに対してそうしたように、自国が武力攻撃を実際に受けなくても、武力攻撃をして来るかもしれないと判断すると、先制攻撃をしかけてしまう。言うまでもなく、これは侵略戦争である。日本は集団的自衛権の行使だといって、米国の侵略戦争に付き合うべきではない。

Q8. 米国が中国と戦争になる可能性などあるのか?

A. 中国の経済学者のコメントを紹介したい。現在、台湾独立問題をめぐって緊張が高まっている。2008年北京オリンピック成功のために中国は台湾に手出ししないだろうという甘い観測から、日米は台湾独立を後押ししている。しかし、中国政府にとってはオリンピックより国内問題である台湾が重要である。もし、台湾が日米の後押しを受けて独立宣言をすれば、中国は台湾海峡に海軍を出すであろう。米軍は台湾との「集団的自衛権」を行使して日本の基地から出撃して、中国をけん制し、緊張は高まるであろう。そのとき日本軍が米軍と「集団的自衛権」を行使すれば、これは日中の戦争になってしまう。

 菅:無い。13億人という大市場を失うなどということは米国の財界が決して許さない。中国も立場は違うがほぼ同じ理屈で現在の経済発展を続けるために無謀な賭けには出ない。(余談になるが、台湾独立と言うが、現在の台湾政府は亡命政府であり、台湾の原住民族にとっては侵略者である。「犬(日本)の後から豚(亡命政府)が来た。」と現地では言うらしい。)  中国の軍事的脅威は無いのかと問われればそれはある。無いと言えばうそになる。日本政府は憲法改悪プロパガンダにばかり事を使わずに、なぜ軍事力を増強するのかと中国政府を問い質せば良い。(資本主義経済化により、中国の失業率と社会不満は増大し続けている。軍隊が若者を雇い入れているという実情があるようだ)また、逆に中国政府にとって駐日米軍と自衛隊が大きな軍事的脅威のはずである。人の振り見て…、ということではないか。

Q9. PKO活動や人道復興援助のみならず、武力行使をともなう国際貢献もしなければ、日本は世界の孤児になってしまわないか?

A. 武力行使による国際貢献ではなく、平和的手段による国際貢献こそ真に役立つ国際貢献である。武力行使によって平和を作り出そうというのは、現在のイラクにおける米軍の悲惨なありさまに見るように妄想か虚偽にすぎない。現実には、武力行使は憎しみや恨みを残すだけである。日本政府が武力行使による国際貢献で気を使っている相手は、イラク国民ではなく、米国のネオコンの連中であろう。

Q10. 多くの人が平和を望んでいるのに、なぜ世界で戦争がやまないのか?その具体的理由は?

A. 冷戦終結後、各地の戦争は民族対立・宗教対立などがその理由だと言われるが、それがほんとうの理由ではない。いかに民族・宗教がちがって争ったとしても、機関銃や大砲や戦車が無ければ戦争にはならないからである。戦争とは素手で殴りあうことではないのである。戦争がやまない理由は、紛争の火種があるところに武器を売りさばく死の商人の国々があるからである。死の商人たちにとっては、戦争が必要なのである。残念ながら戦争を望んでいる人々がいるのである。

Q11. 死の商人とはだれか?

A. 現在、武器輸出国の第一位は米国、第二位は英国、第三位フランス、第四位ロシア、第五位と第六位を中国とドイツが交代しながら演じている。これら六カ国で世界の武器輸出の実に90パーセントを占めている。この六カ国のうち五カ国が世界平和を作ることを目指しているはずの国連の常任理事国である。 国連が本気で世界に平和をもたらすことを望むならば、武器輸出を全面禁止すればよい。素手で戦争はできないのだから。彼らは実際には平和を望まず、戦争で金儲けをしているのが実態である。

Q12. 死の商人のやり口をもう少し具体的に知りたいのだが。

A. 「イラン・イラク戦争」を例にあげよう。当時、双方の軍拡政策に手を貸して、イラクを世界第4位の軍事国家に仕立て上げたのは、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、ソ連などの、湾岸戦争の中核を成した多国籍軍の国々であった。ここにも国連常任理事国が名を連ねている。これらの国々は、“ホメイニ革命”の中東への波及阻止という大義名分を掲げながら、膨大な兵器をイラク・イラン双方に売って荒稼ぎしていた。死の商人たちが火に油を注いだせいで、「イラン・イラク戦争」は長期化し双方の死傷者は、合計100万人を超える。これによってサダム・フセインのイラク軍は強大化した。

Q13.湾岸戦争で死の商人たちはどれほどの利益を得たのか?

A. 湾岸戦争前、軍産複合体は“冷戦終結”のせいで、全米で1位と2位の軍事企業「マクダネル・ダクラス社」と「ゼネラル・ダイナミックス」の両社は経営危機に陥っていたが、湾岸戦争のおかげで息を吹き返した。「砂漠の嵐作戦」で中東に展開したミサイル、戦車、ヘリコプター、戦闘機といった陸・空の主要兵器だけで総額は約2740億ドル(約36兆1680億円)にのぼる。石油産業は、1990年末の四半期で、米国大手石油18社の純益は前年の250%という額に達し、ブッシュ大統領とベーカー国務長官は、故郷テキサスの一族やアメリカの軍事産業界に莫大な利益をもたらした。

更に湾岸戦争後、破壊されたクウェート復興事業(約800億ドル、およそ10兆4000億円)のほとんどは、世界最大の建設会社「ベクテル社」をはじめとするアメリカの企業が受注し、残りをイギリスがさらっていった。彼らは、中東を破壊し、中東を再建し、中東に莫大な負債をもたらすというパターンを繰り返して巨億の富を得てきたのである。まさに、死の商人は戦場で流される血をすすって生きる吸血鬼である。

Q14. しかし、火種がなければ油を注いでも火はつかない。紛争当事国にも問題があるのではないか?

A. そのとおりである。だからこそ、日本はアジア地域で平和外交を積極的に展開すべきであって、今、首相たちがしているように、靖国参拝を強行するなどしてアジアに緊張をもたらし戦争の火種をつくるべきではない。それこそ死の商人たちの思う壺である。現実に、北朝鮮からの弾道ミサイルに備えると称して、2005年12月防衛庁は現在のものよりもさらに高性能で高価な迎撃ミサイルを、来春から米国と共同開発する計画に着手すると、発表した。予算は3000億円!

Q15. わが国は現在、世界の死の商人のリストの上位には挙がっていないようだが、憲法9条を変えたらどうなるのか?

A. わが国は平和憲法のもとに、国際紛争の当事国又はその恐れのある国向けの武器輸出を禁止するという武器輸出三原則第三項を守ってきた。技術も資本もある日本が大規模な武器輸出による金儲けに走らなかったことこそ、もっとも効果的で具体的な世界平和への貢献である。死の商人たちが紛争の火種に油を注いで金儲けをして、大火事にし、後始末に自国の旗を掲げてPKOやPKFを派遣してさらに金儲けするマッチポンプ式の欺瞞よりも、ずっと実効がある。 しかし、もし憲法9条を改変すれば、日本は財界の後押しを受けつつ、米軍との共闘のために、武器輸出三原則も破棄するであろう。そうなれば日本も死の商人、吸血鬼リストの上位ランク入りを果たすであろう。わが国は戦争で金儲けをする「普通の国」になるべきではない。

菅:自分の家族・友人がどこの国の兵器によって殺されたか?ということを戦争遺族は憎しみとして心に刻むと言われている。爆弾やミサイルのかけらにJAPANの文字が刻まれているだけで、その戦闘に参加したのと同じくらいの憎悪を引き受けるのである。

Q15-2 わが国では現在、死の商人の政府に対する働きかけはあるのか?

A. ある。すでに、経団連は2004年7月20日「今後の防衛力整備のあり方について——防衛生産・技術基盤の強化に向けて」という意見書を政府に対して提出している。ここで経団連は、安全保障環境の変化と危機を強調し、武器輸出三原則の再検討を要求している。今後、米軍再編と九条改変が成るならば、日本でも米国のように軍産複合体が政治・経済・軍事を牛耳ることになってしまうであろう。

Q16.自衛隊が自衛軍に変えられたら、だれが軍に入るのか?

A. 外国に行って人殺しをしなければならないのが軍隊であるから、入隊志願者は減るであろう。それでは、自衛軍が成り立たないので、政府は「愛国心教育」をするために、憲法とともに教育基本法も変えることを図り、首相は靖国参拝を強行している。

Q17. イラクに派遣された米軍はどういう人々からなっているのか?

A. 米軍の多くは定職の無い有色人種の貧困者層から成っている。戦争は米国にとってはいわば最大の公共事業である。日本では、今、貧富の格差を拡大する規制緩和政策が矢継ぎ早に出され、社会は少数の金持ち層と大多数の貧困者層に二分化されつつある。米国と同じような構図で、定職の無い若者たちを戦場に送り出し、軍需産業のみが肥え太るという国にしてはならないと思う。

 菅:一度戦争をし、軍備が拡大されると元に戻るのは非常に困難になる。増大した軍需産業は雇用を生み、それで食べて行かなければならない人がそれだけ増える。兵器は消耗品(毎日使われる車やテレビのような)ではないので、戦争で使われなければ新しい需要は生まれない。需要が増えなければ儲からない。また、消耗品ではないが消費期限があって、それが大体10年と言われている。これに附合するかのように米国は10年に一度大規模な戦闘をする。(陰では在庫一掃セールと言われている)一度戦争をして戦争で稼がなければ成り立たない国なったらおしまいなのである。

Q18.改憲して自衛軍ができても、志願者が少なければどうするのか?

A.徴兵制が施行されることになるであろう。そうなれば、若者たち、私たちの子どもたち、孫たちが米軍の始めた戦争に「集団的自衛権」ゆえに強制されて行き、人を殺したり人に殺されるということになる。その結果、巨億の富を得るのは米国と日本の軍産複合体と呼ばれる死の商人であろう。

Q19. 日本以外に戦争放棄を謳う憲法を持つ国はあるのか?

A. ある。中米のコスタリカである。コスタリカでは1949年以来、戦争を放棄し、実際に軍備を放棄することによって、あの戦火の絶えない中米という地域において、非武装によって平和を維持してきた。

Q20. もう一度確認したい。では日本のアジアにおける平和は基本的にどのように構築すべきなのか?

A.アジアの近隣諸国と仲良くすることである。近隣諸国からの脅威がなくなれば、もはや米国に守ってもらう必要がなくなる。近い国同士で同盟を結ぶのが得策である。もちろん、その際、米国をも敵に回さないようにする外交的な知恵が必要である。そのためには、憲法9条を堅持することが基本である。 菅:自分たちの身に引きつけて考えてみよう。隣人の名前も顔も知らない。挨拶もしない。何をしているのかも分からなければ「不審」に思うかもしれない。そんな時私たちはもしものトラブルのために「武装」するのだろうか?まず挨拶を交わし、自己紹介し、人間関係を作ろうと努力しないだろうか?よく知っている、行き来のある隣人は私たちの生活にとって脅威にはならないのだ。

<参考> http://www.magazine9.jp/q_a/index.html

http://rerundata.hypermart.net/ura/hexagon/floors/floorA3F.html#01


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Last-modified: 2019-05-15 (水) 19:09:37